10/18/2017

雑記 20171018


Pawel Mogilaが随分と前から公開済みの自作ゲーム「Clinically Dead」のショート・クリップやトレイラーを淡々と時差をつけて投下しているのがなんとも不器用でいい。しかも相変わらず再生数は伸びず誰も注視していないのが、彼のコマーシャルへの興味の無さと確実に決めているであろうウィードな異世界探訪の孤独っぷりに拍車をかけており、ここにしかない景色を覗かせてくれている。2010年代のカルト・ゲームとして再評価される未来がこうも見やすいとは。
http://www.mogilagames.com/clinically-dead/

https://vimeo.com/230369024
Three loops of my contribution to ECLIPSECORE: "27 artists respond to the 2017 North American total solar eclipse" organized and curated by Rick Silva. The piece was screened in LA organized by Ghosting TV and WOAH as well as in the Oregon desert as part of Signal Fire's Total Solar event. 
http://eclipsecore.org


「ブレードランナー2049」の公開年と同じ2017年にこの「RUINER」が発表されたことは偶然にしても出来すぎ。80年代の日本が持った先鋭的な姿はSFにおける近未来の舞台として重宝され、その役目はゆるやかに終えつつあるわけだが、それにしても「80年代的サイバーパンク」の表層的なエッセンス、”ディストピア・トーキョー”を模した”レンゴク・シティ”を舞台とした4thパーソン的視点のシューティング・アクションである本作、とにかく完璧。言うことなし。逆輸入的に「メタルギア」シリーズからの影響も伺えるアメコミ的演出も巧みに取り入れ唯一無二。2016年の「Inside」、そして2017年の「RUINER」という具合。全員にプレイしてほしい。
http://ruinergame.com



E+E、DBHB、「Garden of Delete」などの結合双生児のような音を展開していた昨年とは異なり、2017年の彼のモードはとにかく実機の肌触りが押し出された「バンドマン」の空気で、それは彼のインスタグラムを見れば簡単に理解できる。Simone Trabucchiだとかが持つ生々しさを掴みつつあり、これからのリリースがどうなるのかが非常に気になるところ。
https://www.instagram.com/miranda_pharis/


Ana Jikia

Malibu


James Johnsonの新作。動きの無さと色の少なさ。ぼやっと浮かぶオレンジ色はなんの灯りなのかしら?現代の無名映像作家にとってのYouTubeという額縁を真剣に論じたい今日この頃。そういうトーク・イベントを誰かと開催したい気持ちがふつふつと。この小さな美しさは虚構ではないはず。
https://www.youtube.com/channel/UCfGiBhG6aXrNJdJa_YFQkhA


PACHINKO MACHINE MUSICはパチンコ店内での録音などをサンプリングしてループするプロジェクトであり、それはAdrian Rewの傑作「Slot Machie Music」に感銘を受けて開始したのだが、思いの外、この「パチンコ」という環境にずぶずぶとハマりつつある。ギャンブルはしないのでパチンコをプレイすることはないのだが、射幸心を煽ることにすべてを注いだ映像・音楽・演出は提供側と消費側の間での歪な、醜い現実を産んでいるのだが、音楽や芸術の意識を一切していないそこを一歩引いて眺めてみるだけでもこうも刺激的なものはあるのかと。
https://www.youtube.com/channel/UCC2rnpowkKx5JVlVp_2WV6w

10/11/2017

miramoya ~ Wounded / Morning Loop / Impossible Dreams





夜が開ける手前の、あの心地よい空気に触れたときと同じ音。

10/10/2017

Shoes, Steaming, Coat Hangers, Wardrobe, Shoes, Shoes by Natalia Panzer – The Creative Independent


ザ・クリエイティブ・インディペンデント(TCI)は、創造的な人たち、または創造することを夢見る人たちへ感情的かつ実践的な指導を行い、コミュニティを教育し、刺激し、成長させることを目標にするウェブ・プログラムです。
主なコンテンツは、ミュージシャン・作家・映画製作者・ダンサー・デザイナーなど、様々な分野で創造的な活動を行うアーティストへのインタビュー。記事の多くはGoogle翻訳でも割と正確に翻訳されるくらい簡単な言葉でまとめられていて、これから何かを始めたいと考える人たちへヒントを与えるというコンセプト通りのシンプルな内容が多くとても読みやすい。
その他のコンテンツは運営メンバーによるコラム、毎週末に届くメールマガジンなど、無垢な発想で創造の魅力をわかりやすく発信しています。

そんなTCIが新たに開始したプロジェクトが、1ヶ月間に4つのオンライン作品を発表するシリーズ企画。その第三回目、今月のマンスリーアーティストとしてピックアップされたのがアーティスト/ライターの「ナタリー・パンツァー」
7月29日に1つ目の作品、約8分半のフィールドレコーディング音源「Shoes, Steaming, Coat Hangers, Wardrobe, Shoes, Shoes」が公開されました。





音源はタイトル通り、6つのパートで構成されています。下記は本人による説明文です。

Shoes Steaming Coat Hangers Wardrobe Shoes Shoes —
Shoes recorded in Crown Heights at Nick and Grayson’s apartment.
Steaming and Coat Hangers recorded in my room in Sunset Park.
Wardrobe recorded at Christine’s apartment in Union Square.
Shoes recorded in the stairwell of my workplace in Chelsea.
Shoes recorded on 4th Avenue in Sunset Park. 


自身の生活や思い出にまつわる音で構成された詩のような音楽。
音を用いた音楽的な作品ですが、本質はそれぞれの音の持つ情景。特別な一日ではなく、とりとめのない毎日の美しさが丁寧に紡がれているように感じました。

今後もナタリーは新作をTCIにて、8月12日、19日に発表予定。本人のツイートによるとこのシリーズ作品は、Elliot Cost(いまはElliott Radnerって名義で活動されいます)との共作とのこと。

8月5日に公開された二弾目の作品は、ナタリーとエリオットが持っている衣類のカラーリスト。
ナタリーは2016年11月に一度同じコンセプトの作品を制作していて、その際にどうしてもWebコードがうまく動作しなかったためエラーが出る原因をアメリカ版ヤフー知恵袋的な掲示板に質問したそうで、その記録も左のTシャツをクリックすると閲覧できます。




10/09/2017

"solvent" by hayataro hirugami (Wasabi Tapes)

"solvent" by hayataro hirugami (Wasabi Tapes)

Wasabi Tapesよりhayataro hirugamiの新作「solvent」をリリースした。長崎在住(ということになっている)のアンビエント作家である彼。その名を「昼神早太郎」と言うが、これは昼神温泉と早太郎温泉から拝借したパロディーである。JR東日本の旅行企画にもまさにその並びの文字がある。彼の正体は明かしていいのか迷うが、今回はhayataro hirugamiを独立したエゴとして迎えよう。
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私は彼の音楽が好きだ。日本の作家で信頼を置ける人物というのは限られてくる。音そのものというより、「佇まい」が私にとっては重要になってくるし、そういった意味で彼の静かさはどこまでも広がっていく水滴の波紋のようで、とにかく心地がよい。彼と先日の「インフラ INFRA」で初めて顔を合わせた。柔らかい雰囲気と落ち着いた話し方だった。彼の家族の話をそこでした。愛、がいま一番良い。





10/01/2017

”Early Contact” by Léo Hoffsaes & Loto Retina


日々過ごしている、この日常を我々は実際どういう風に過ごしているのだろう?〈Orange Milk〉からのリリースも記憶に新しいLoto Retinaとリリースの数は決して多くないもののクラシカルな表現に根ざした美しい音を紡いできたLéo Hoffsaesとの共作は日常そのものの姿を丹念に追った、繊細な作品だ。

日常という文脈の中で子どもの表情、味覚、そして汚言まで並列に語られる脈絡の無さは(作品の紹介文にもあるように)聴き手を困惑させると同時に、逆説的に日常をありのまま映し出す。また、タイトルに冠された「時間」の概念と曲の中で語られる家族の姿は誰にも当てはまるような普遍性を持ちながら、その中に潜む微妙な感情の機微を浮き彫りにさせる。

その日常風景に重なるLéo Hoffsaesの持つ表現手法とLoto Retinaの持つコラージュ感覚の奇妙なコラボレーションも絶妙だ。躁鬱的とも言える弦楽器の抑揚と電子音、環境音の混淆は「語り」と付かず離れずの距離を保ち続ける。その距離感が日常の「原風景」を我々に実感させる。

Mimiのリーディングも素晴らしい。この作品は妊娠中のある女性の視点で構成されていると言えるが、そこにMimiの声が重なることでよりその女性の身体的な実体感が増す。Mimiの声は考える時に浮かぶ、あの「自分の声」の響きによく似ている。彼女の頭の中と自分の頭の中が同一のように錯覚してしまいさえする。この錯覚がより彼女の日常における意識の流れ、時間の流れを我々の中にも色濃く落とし込む。

そもそも、日常に於いて我々は何らかの順序や決められたシナリオに沿って生活を営んでいるのだろうか。自分を自分で完璧にコントロールできているのだろうか。突然やってくる予期しない出来事や自然に湧き出るとめどない感情の波に突き動かされる瞬間。妊娠という経験を通し、一人の人間の中にまた新たな命が宿る感覚。意識と無意識の狭間で揺れ動きながら、日常にある我々の存在をこの作品は美しく切り取っている。その中で最終曲「6 pm」で語られる自然の美しさや家族への言葉を聴くと、そんな日常や自分の変化や揺らぎと向き合い、なお力強く歩んでいこうとする人間の尊さに強く胸を打たれてしまうのだ。